羽根なし扇風機の構造原理と風を出す仕組みとは?メリットと価格の傾向も解説!
2018/07/12
ダイソンが2009年に発表し、今では誰もが知っている羽根なし扇風機。そんな羽根なし扇風機は、どのようにして風を送り出しているのでしょうか。
気になる構造原理や仕組み、さらには羽根なし扇風機のメリット、デメリット、価格の傾向についてもご紹介します。
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羽根なし扇風機の構造原理と仕組み
羽根がないのに風が送られてくる羽根なし扇風機。考えてみれば非常に不思議な製品ですが、いったいどのような構造原理となっており、どのような仕組みで風が送り出されるのでしょうか。
ダイソンのエアマルチプライヤー
羽根がない扇風機は、吸引力が落ちない掃除機で有名なイギリス企業ダイソン社が考え出したエアマルチプライアーというテクノロジーによって風を送り出しています。
羽根がないのに風が送られる仕組みは、扇風機の内部構造と空気の流れを上手く制御することで実現しています。
エアマルチプライヤーは、リングのような形状をしており内部にモーターが収められています。内蔵された非対称形のインペラによりベース部分から吸い込まれた空気が、リング部分に空いた約1.3mmのスリットから高速で吹き出します。
16度の翼型傾斜の上を通った風は円形の気流を生み出しながら吹き出します。この際、流れる空気が壁の近くに引き寄せられる特性「コアンダ効果」が起こります。このコアンダ効果によって周囲の空気が巻き込まれることで吸気された量の15倍の風量を作り出して放出します。
スリムファン
一般的には羽根なし扇風機というと、ダイソンの扇風機を想像しますが、それ以外にもスリムファンやタワー扇風機と呼ばれるタワー型の扇風機も存在します。
スリムファンは、通常の扇風機の羽根ではなくエアコンなどに用いられるシロッコファンによって風を送り出す構造となっています。そのため細長い形状をしており、どんなスペースにも置くことができます。
ダイソンのエアマルチプライヤーのメリット
ダイソンのエアマルチプライヤーに代表されるタイプの羽根なし扇風機には、次のようなメリットがあります。
1.途切れない風で疲れにくい
ムラがなく途切れない風を送ることができるため、当たっても疲れることがありません。
2.静音設計
通常の羽根を回転させるわけではなく、構造が露出していないため音による影響を最小限に抑えることができます。
3.省エネ効果
小さな風から大きな風を作り出すため通常の扇風機に比べて高い省エネ効果を実現しています。
4.安全性が高い
羽根が露出していないため、手を近づけても安全。羽根が手にあたるようなことはありません。
5.手入れが簡単
複雑な構造が露出していないため手入れが簡単。外部を拭くだけで簡単に掃除できます。また着脱式吸気フィルターでホコリを取り除くことができます。
6.温風に対応
製品によっては、温風を出せるものもあり夏場だけでなく冬にも活躍します。
ダイソンのエアマルチプライヤーのデメリット
ダイソンのエアマルチプライヤーに代表されるタイプの羽根なし扇風機には、次のようなデメリットがあります。
1.価格が高い
複雑な構造ゆえ、どうしても値段が高くなる傾向にあります。製品によって一般的な扇風機に比べて数倍の価格の製品もあります。また着脱式吸気フィルターの買い替えが必要なため、ランニングコストも一般的な扇風機より高くなってしまいます。
2.風が遠くまで届かない
小さな穴から噴き出した空気が風となるダイソンの扇風機では、気流が乱れているため遠くまで風を送ることができません。
3.風を強くすると音が大きくなる
構造上、風力を上げると音が大きくなります。基本構造がハンドドライヤーに近いことが分かると、風量の上昇と音の増大がイメージできます。
4.掃除できない
内部に構造を収めているため、内部が汚れてしまうと掃除ができません。タバコの臭い、カビ、ホコリなどに弱いです。
5.修理ができない
こちらも3の掃除できない理由と同じで、内部構造になっているため簡単に修理することができません。
スリムファンのメリット
タワー型のスリムファンにもいくつかのメリットがあります。
1.置き場を選ばない
通常の扇風機に比べて省スペースに作られているためどこにでも置くことができます。
2.静音設計
シロッコファンを回転させて風を生み出すため、通常の扇風機に比べて小さな音しか出しません。
3.安全性が高い
ダイソンの扇風機と同じように、羽根が露出していないためケガをする心配がありません。
6.温風に対応
製品によっては、温風を出せるものもあり夏場だけでなく冬にも活躍します。購入時に確認しましょう。
スリムファンのデメリット
タワー型のスリムファンにもいくつかのデメリットがあります。
1.価格が高い
複雑な構造と多様な機能によって一般的な扇風機に比べて価格が高い傾向にあります。こちらも着脱式吸気フィルターが必要なため、ランニングコストが高くなります。
2.風が遠くまで届かない
シロッコファンもダイソンの扇風機と同じように遠くまで風を送るのが苦手。強い風を出すことができません。
3.強風にするとうるさい
風を送るのが苦手なため、強い風を作ろうとすると大きな音を発します。
4.掃除できない
内部に構造を収めているため、内部が汚れてしまうと掃除ができません。タバコの臭い、カビ、ホコリなどに弱く、ダイソンの扇風機と同じ欠点を持っています。
5.修理ができない
こちらも3の掃除できない理由と同じで、内部構造になっているため簡単に修理することができません。やっぱりダイソンの扇風機と同じです。
羽根なし扇風機の価格傾向
羽根のない扇風機は、一般的な扇風機に比べて価格面でどのような違いがあるのでしょうか。
エアマルチプライヤーはとにかく高い
ダイソンを筆頭とするエアマルチプライヤー型の扇風機は、総じて高価格帯の扇風機です。
一般的な扇風機では5000円前後で基本機能を備えた製品を購入することができます。
これがダイソンの扇風機では、最低でも3万円前後の価格帯となっており、高ければ5万円を超える高級機種も存在します。
さまざまな機能が搭載されているとはいえ、ただ風を送り出すだけの装置に通常の10倍以上のお金を出すのは気が引けても仕方ありません。
ところが羽根なし扇風機は人気商品となっており、その理由はデザイン性にあります。羽根がないのに風を生み出す構造とその先進的なデザインから高い評価を受けています。
スリムファンも基本的に高め
スリムファンの価格帯は、1万円~3万円とエアマルチプライヤーに比べると低めに設定されています。一方で一般的な扇風機と比べると高めの設定と言えなくもありません。
ただしスリムファンは省スペースで置き場を選ばないことや安全性の高さから用途によっては妥当な価格と言えます。
また送風だけでなく温風を出す機能が搭載された製品もあり、夏冬使えるのも価格が上がる理由になっています。
一般的な扇風機に比べてデザイン性が高いことも人気の要因となっています。
まとめ
羽根なし扇風機のあれこれについて説明してきましたが、一言でいえばデザイン性がありユニークな機能だけど値段が高い製品ということになります。
用途によっては満足できる製品ですが、購入者を選ぶ製品でもあります。デザイン性に惹かれる、喫煙しない、ホコリっぽい場所に置かない、湿度が高い場所に置かないなどの条件を満たせるなら、買って損はない製品といえそうです。
以下の記事を参考にして羽根なし扇風機を選びましょう。