高配当株投資で減配リスクを下げる銘柄選定の5つのポイントとは?減配や無配で高配当株投資の成長エンジンを止めるな!
2020/04/17
配当金を得られるだけでなく株価低迷時には大きなリターンにも期待できる高配当株投資。配当利回りが高ければ十分な不労所得を得ることもできます。
しかし肝心の配当金が下がってしまう減配や無配になってしまえば、高配当株投資の根本が大きく揺らいでしまいます。配当金目当ての高配当株投資なのに配当金が手に入らなければ本末転倒です。
そこで今回は、高配当株投資で減配リスクを下げる銘柄選定の5つのポイントをご紹介します。減配や無配で高配当株投資の成長エンジンを止めないことは高配当株投資では非常に重要です。
1.暴落の原因に関連する銘柄を避ける
株価が上昇していて景気も好調なときには企業が減配や無配になることはあまりありません。減配や無配になるのは、株価が大きく下がる暴落期です。
株価が暴落するときには大きな原因があることも少なくありませんが、株価暴落の原因に関連する銘柄を避けることで大幅な業績悪化を回避して減配や無配を避けることができます。
市況関連株は影響を受けやすい
株価が暴落すると景気が悪くなってしまいます。その結果、どのような原因で株価が下落していようが市況関連株は株価が下落します。
市況関連株として分かりやすのが自動車や航空機に関連した株です。景気が悪くなれば自動車を買い替える人や旅行に出かける人は少なくなります。景気後退によって売り上げは大きく下がります。
株価暴落の原因がどのようなものであっても、市況関連株は業績が悪化して株価が大きく下がる可能性が高いため注意しておきましょう。
想像力を働かせる
暴落の原因に関連する銘柄を見つけるのは簡単ではありません。思わぬところで影響を与えるためです。
暴悪の原因に関連する銘柄を見つけるためには、想像力を働かせることが大切になります。
たとえば金融危機が発生すれば銀行や証券会社などの金融機関が大きなダメージを受けることは想像できます。しかし影響はそれだけではありません。
不動産のローンに影響を与えれば建設業や不動産業にも影響を与えることになり、自己資本比率の低い融資に頼っている企業も貸し剥しによってダメージを受ける可能性が出てきます。
ひとつの問題からほかの問題にどのように波及していくのか想像力を働かせることが極めて重要になります。
直接的な原因に関係した株をあえて買う逆張りもできる
減配や無配を避けたいなら暴落の原因に関連する銘柄を避けるのが無難ですが、もし株価が想像以上に下がっているなら直接的な原因に関係した株をあえて買う逆張りが有効になります。
株価が大きく下がっているなら配当利回りが上がっているはずです。無配はともかく減配なら、納得できる配当利回りを確保できる可能性があります。
また配当金が一時的に下がっても、その後、配当金が戻りそうなら減配や無配に納得して高配当株を買える場合もあります。
ただ単純に減配や無配を避けるだけでなく、減配や無配に陥っても納得できる株を選ぶというのも魅力的な選択となります。
2.消費者独占型企業を選ぶ
どのような状況に陥っても消費者が使わざるを得ない商品やサービスを提供している企業の株であれば、安定した業績を実現する可能性が高いため減配や無配になってしまう可能性も減らせます。
競争力のある消費者独占型企業の株を優先的に選びましょう。
強力なブランドを持っている
消費者独占型企業とは、熱狂的な消費者を抱えている商品やサービスを提供している企業のことで、ほかの商品やサービスでは代替が難しい商品やサービスを提供している企業です。
そんな消費者独占型企業の大きな特徴が強力なブランドです。
消費者独占型企業は、誰もが知っているような強力なブランドを持っていることが多く、ブランドによって消費者を惹きつけます。ほかの商品やサービスを選びたくてもブランドを優先することで消費者を惹きつけます。
強いブランドを持っている企業は消費者独占型企業の可能性が高いため、不安定な状態でも安定した業績を実現してくれます。
選択肢がない商品やサービスを提供している
ある地域やある分野の商品やサービスを選ぶときに、ほかに選択肢がない場合には優れた競争力を兼ね備えていることになります。
選択肢がないため価格決定権を企業が握っており、企業が設定した値段で商品やサービスを買わなくていけません。
選択肢がない商品やサービスを提供している企業なら業績が安定するため配当金の原資も安定して稼ぎ続けてくれるはずです。
繰り返し使い続ける必要がある商品やサービスを提供している
生活必需品や一般消費財といった消耗品は、短期間のうちに使いきってしまうため繰り返し使い続ける必要があります。継続的に使い続ける商品やサービスは、安定した収入を生み出してくれます。
消費者独占型企業の中には、生活必需品や一般消費財を提供している企業も多く、投資家も身近な商品やサービスなら良し悪しを判断しやすく選定しやすくなります。
理解することが難しい複雑な商品やサービスを避けることで、優れた企業を選びやすくなります。
繰り返し使い続ける必要がある商品やサービスを提供している消費者独占型企業も高配当株投資に最適な銘柄となります。
3.財務状態が盤石な企業を選ぶ
財務状態が盤石な企業を選んでおけば、状況の変化にも対応することができます。いざというときにも耐え抜き、配当金を守り続けてくれます。
また財務状態が盤石な企業はビジネスモデルや経営に優れている可能性も高く、安心して自分の資産を預けておくことができます。
充実した内部留保がある
内部留保とは企業が溜め込んでいるお金のことで家計でいえば貯金です。
一般的には多すぎる内部留保は資本を効率的に回転させていない証拠となるため優れた企業経営をしていないとみなされます。
しかし内部留保がしっかりあれば、いざというときには自己資本でビジネスを展開することができます。また配当金を出すだけの原資を確保できているということにもなるため、減配や無配を避けることにもつながります。
充実した内部留保は自己資本比率の高さにもつながるため、安定した企業経営には欠かせません。
1株当たり利益(EPS)が増加している
EPSが増加しているということは、企業が収益を再投資してビジネスを成長させているということになります。
EPSが持続的に増加していれば安定的に企業が成長しているということになり、今後も企業が大きく成長していく可能性が高いということになります。
またEPSが増加すれば株価が上昇する要因となるため、配当金の減配を抑える要因にもなります。
株主資本利益率(ROE)が高い
ROEは企業の成長の効率性を表しており、ROEの増加は企業の成長力を示します。
ROEが高い企業は効率よく成長しているため、配当金を出している場合には増加率が高くなります。
利益率が高いということは小さな資本を効率よく回しているということになり、不況でも安定した利益を実現できる可能性も高まります。
成長力があり不況にも強ければ、配当金の減配を回避することもできます。シンプルに優れた企業は配当金の減配を抑えることができます。
4.配当性向に気を配る
配当性向とは、利益のうち配当金として支払う割合のことです。配当性向が低ければ余裕があり、配当性向が高ければ余裕がないということになります。
極端に配当利回りが高い企業には注意
高配当株を探していると極端に配当利回りが高くなっている企業を見つけることができます。配当金は魅力ですが、配当金だけで株を選んではいけません。
配当利回りが高いということは配当金が多いか株価が低いかのどちらかということになります。理由があって配当利回りが高くなっていれば、配当利回りが維持されない可能性は高まります。
一時的な配当金によって配当利回りが高くなっている企業や配当金が大きく変動する企業もあるため、極端に配当利回りが高い企業には注意が必要です。
一般的に高配当といわれる水準は税引き後の配当利回りで3.5%程度。株価次第では安定した企業でありながら配当利回り7%程度の高配当株も存在しますが、それ以上に配当利回りが高い株についてはしっかりとチェックしてから買わなくていけません。
安全なのは配当性向40%程度
配当金は、利益のうちから企業への再投資を除いた余剰資金を株主に還元するものです。そのため事業へ再投資していないのに配当金が少なければ、資本を効率的に運用していないため経営が下手と判断することができます。配当金が少なければ良いというわけでもありません。
優良企業は配当性向40%程度の場合が多く、事業への再投資をしながら不必要な資金を株主に還元している場合には配当性向40%程度に収まることが多いようです。配当性向40%程度なら、配当金を増やす余裕もあり利益が減っても配当金を維持する余裕があります。
安全な配当性向の目安として40%程度を押さえておきましょう。
配当性向90%は危険
配当金に力を入れている企業の中には、配当性向が90%程度という企業もあります。
配当性向が90%程度になるとかなりギリギリの状態です。利益のほとんどを配当金として分配している状態ということになります。
成長が見込めない事業を展開している企業の中には配当性向を高めている企業も多いですが、配当性向が90%程度になっていると利益が少し減るだけで配当性向が100%を超えてしまうことになり、減配の可能性が高まります。
あまりにも配当性向が高い場合には注意が必要です。
配当性向100%を超えると減配のリスクが跳ね上がる
配当性向100%を超えるということは、利益以上の配当金を出しているということになります。
タコ配当と呼ばれる状態で、貯金を取り崩して配っているような状況となります。
企業の中には連続増配にこだわり増配を続けている企業や減配せずに配当の維持を目指している企業もあります。一時的に利益が減った場合には、無理をしてでも連続増配を続けるために配当性向が100%を超えてしまうことがあります。
配当性向が100%を超えても十分な内部留保があれば乗り切ることができますが、長く配当性向が100%を超えれば内部留保も尽きてしまうため減配に転落してしまいます。
配当性向が100%を超えている場合には先行き不透明なら減配リスクが大きく高まります。
5.連続増配株を優先する
高配当株の中には、配当金を毎年のように増やし続けている連続増配株が存在します。連続増配株なら、減配リスクが少なく安定した配当金に期待することができます。
配当リスクを抑えたいなら連続増配株を優先するのが非常にシンプルで分かりやすい対策となります。
50年以上の連続増配株もある
連続増配株の中には50年以上にわたって連続増配を続けている連続増配株も存在します。
日本株には30年程度の連続増配株しかありませんが、米国株には50年以上の連続増配株が存在。誰もが知っている有名企業の中にも連続増配株は多く安心して選ぶことができます。
50年以上の連続増配株となると歴史の教科書に載っているような大恐慌や大不況でも連続増配を続けているということになります。
歴史に裏打ちされた連続増配を続けている企業なら安心して投資することができます。
借金をしてでも配当金を維持する
連続増配株は、連続増配を続けていることがブランドにもなっています。そのため無理をしてでも長年の連続増配を続けようとします。
苦境に立たされても連続増配を続ける場合も多く、配当性向が100%を超えても連続増配を続けようとします。
また内部留保を使うだけでなく借金をしてまで連続増配にこだわる企業もあり、安定した配当金に期待できます。
日本の企業の中には無理に連続増配を続ける企業は多くありませんが、米国企業の中には無理にでも連続増配を続ける企業が存在します。
安定した事業が多い
連続増配企業は、ただ単純に連続増配をしているから減配リスクを抑えられるというわけではありません。連続増配に裏打ちされた安定した事業を展開している企業が多くなっています。
長年にわたって連続増配を続けているということは、安定した事業によって安定的な利益を出しているということです。不況にも強くいざというときにも資金調達ができる信頼性もあるということです。
長年にわたって配当金を出し続けてきたという事実からも、連続増配株に投資することは安定した事業に投資することにつながります。
連続増配株への投資は結果的に目先の利益ではなく長期間にわたる利益を見極めることにつながります。
まとめ
株価が下落したときには高配当株投資のチャンスが到来しますが、減配リスクを無視してただ単純に高配当株を買い続ければ思わぬタイミングで受け取る配当金が減ってしまうことになります。
配当金を当てにしていたのに配当金が手に入らなければ生活設計も投資計画も大きく狂ってしまうことになります。
安定した配当金を受け取るためにも、高配当株投資をするときには減配リスクを抑えた銘柄を選定するようにしましょう。