暴落期こそリスクを最大限にとって投資すべき5つの理由とは?リスクとリターンのバランスが重要!
株価が長く右肩上がりを続けたバブル期には、多くの投資家が楽観的になり浮かれて大きなリスクをとった投資をするものです。一方で暴落期には、多くの投資家が悲観的になり必死になってリスクを抑えようとするものです。
バブル期にリスクをとって暴落期にリスクを抑えようとするのが大多数の投資家であり人間ですが、株式投資で成功するための判断としては大間違い。むしろバブル期にはリスクを抑えて暴落期には積極的にリスクをとることが重要です。
今回は、暴落期こそリスクを最大限にとって投資すべき5つの理由をご説明します。リスクとリターンのバランスが重要です。
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1.本当のリスクとリターンのバランスを理解する
株式投資をするなら絶対にリスクとリターンについて理解しなくてはいけませんが、多くの投資家がリスクとリターンを理解していません。そのためリスクとリターンのバランスが崩れているということも認識できません。
暴落期にリスクを冒すことの意味を理解するためには、本当のリスクとリターンのバランスを理解する必要があります。
リスクが大きくてもリターンが大きいならリスクは大きくない
一般的なリスクとリターンに関する認識は大きく間違っています。それはリスクが大きくてもリターンが大きいならリスクは大きくないという状況が成立することからも明白です。
リスクが大きいということは、リスクに対するリターンが小さいときにのみ成立します。もし大きなリスクに見合ってリターンが大きいなら、それはリスクが大きいということにはなりません。
本当の意味でリスクが大きいというものは分の悪い賭けということになります。大きな損失が発生する一方で報酬が小さければリスクが大きいということになります。
逆に大きな損失が発生しても、それ以上に報酬が大きいならリスクは小さいとも考えられます。
まずはリスクというものの性質を理解しましょう。
リターンが大きくても許容度を超えるリスクは大きい
リスクとリターンのバランスを考えたときに、リスクが大きくてもそれ以上にリターンが大きければむしろリスクは小さくなりますが、リスクが大きすぎてリスク許容度を超えている場合には、どれだけリターンが大きくなっても大きなリスクになり得ます。
たとえば90%の確率で死ぬ代わりに10%の確率で1兆円が手に入る賭けがあるとするなら、この賭けはリスクの小さい賭けになるでしょうか。
サラリーマンの生涯賃金が約2億円だと仮定すれば、1兆円というお金はサラリーマン5000人分の生涯の労働に匹敵します。一方で10%で1兆円が手に入るなら賭けの期待値は1000億円となり、賭けに応じればサラリーマンの生涯賃金500人分が手に入るということになります。
お金だけが人間の価値ではありませんが、数千万円の借金で路頭に迷う現実を見れば期待値で考えれば非常にお得であり、賭けをすることのリスクはリターンを大きく上回っているため論理的にはリスクにはなりません。
しかし実際にはリスクが大きすぎる賭けです。リターンが膨大であっても90%の確率で命を失ってしまうならリスク許容度を超えていると多くの人が判断するはずです。
つまりリスクとリターンはバランスが重要であるものの、リスクは許容度を超えるとリターンに関係なく大きなものになります。
リスクとリターンはバランスが重要
リスクの大きさは、許容度の範囲内に収まるリスク自体の大きさに加えてリスクとリターンのバランスが釣り合っているかどうかが大切になります。
そのため許容範囲内のリスクなら、重視すべきはリスクだけでなくリターンとの兼ね合いです。もしリスクが大きくてもそれ以上にリターンを得られる可能性があるなら、リスクを最大化することでリターンを大きくすることができる可能性はあります。
多くの投資家は市場は効率的であるため、多くの場合でリスクとリターンが釣り合っていると考えがちです。理論的にも効率的な市場ではリスクとリターンが釣り合っていると考えられます。
ところが現実ではバブル期にはリスクが大きくなる一方でリターンが小さくなり、暴落期にはリスクが小さくなる一方でリターンが大きくなります。
リスクが小さくリターンが大きい暴落期には、リスクとリターンのバランスを考えてできる限りリスクをとることが大きなリターンにつながると考えられます。
2.暴落期はリスクが最小化している
楽観的な投資家が溢れているバブル期にはリスクプレミアムが小さくなりますが、悲観的な投資家が溢れている暴落期にはリスクプレミアムが大きくなります。
つまりバブル期と暴落期では、同じだけのリスクをとっても暴落期の方がリスクが小さくなっています。
リスクをとる投資家が減ればリスクプレミアムが増える
リスクをとる場合、それ相応のリターンがなければ意味がありません。リスクがない商品とリスクがある商品に投資するときに、同じだけのリターンならリスクがない商品が選ばれることは明白です。
普通に考えればリスク相応のリターンがなければ投資する人が減るはずですが、バブル期には投資家が楽観的になるためリスクが大きくてリターンが小さい商品に対しても投資することが増えます。
暴落期には反対に、リスクが小さくリターンが大きい投資先であっても投資家たちは悲観的になっているため投資をためらいます。
そしてリスクをとる投資家が減れば減るほどリターンが大きくなっていくためリスクプレミアムが増えることになります。
暴落期は同じリターンに対してリスクは減少
リスクの増減に焦点を当てれば、バブル期と暴落期で同じだけのリターンを得ようとするときにはバブル期ではリスクが増大し暴落期ではリスクは減少します。
つまり多くの投資家が投資するのを躊躇しているような暴落期にはリスクが最小限に抑えられている可能性が非常に高くなっています。
多くの投資家にとって無謀に思えるような暴落期での投資こそが、株式投資においてリスクが最小限になっている最大のチャンスです。
大きなリスクが大きなリスクにはならない
暴落期にはリスクが最小化しているため、大きなリスクをとっても実際にはリスクがそれほど大きくなることはありません。
リスクはさまざまな要因によって決定されるためすべてを計算して測定することができず、さらに確率論である以上は結果だけを見てリスクを評価しがちになります。
しかり論理的に考えれば、暴落期にはリスクが非常に小さくなっているため大きなリスクをとっているように思える投資でも大きなリスクを抱えていないと考えられます。
たとえば株を買うときには株価が下がることが大きなリスクであり、株価が値上がりしないことも大きなリスクとなります。ところが株価が十分に値下がりしている暴落期では、株価が下がるリスクが減少するだけでなく株価が値上がりしないリスクも小さくなります。
株式投資よりもスーパーのバーゲンセールで考えた方が分かりやすいかもしれません。
半額になっている商品は、そもそも値段が安いため買っても納得しやすく、納得できなくても半額であるため仕方なかったと諦められるものです。
大きなリスクが大きなリスクにはならないのが暴落期です。
3.暴落期はリターンが最大化している
暴落期にはリスクが最小化しますが、別の考え方をすればリターンが最大化しているともいえます。バブル期と暴落期では同じだけのリスクを冒しても得られるリターンがまったく違ったものになります。
爆発的に膨らむリスクプレミアム
リスクに応じたリターンを得られるリスクプレミアムが最大化するのが暴落期です。
暴落期にはリスクが最大化していると多くの投資家が考えているため、リターンもそれに応じて最大化します。
リスクが大きい場面では、リターンが大きくなければ投資家たちは投資しません。その結果、投資家が投資しないことでリターンが跳ね上がることになります。
特に暴落期の直前はバブル期であったため、投資家たちの心理的な状況は一変します。追い風を受けて走っていたランナーが逆風にさらされているような状況であり、それまで楽観的であっただけ反動で悲観的になっています。
多くの投資家が楽観的なバブル期にはリスクプレミアムが萎みますが、多くの投資家が悲観的なバブル期にはリスクプレミアムが爆発的に膨らむことになります。
リスクに対するリターンも拡大
リスクを避けようとする投資家が増える暴落期には、リスクに対するリターンも拡大します。
リスクが大きくなればそれ以上にリターンも拡大していきます。リスクが大きくなる以上にリターンが大きくなっていきます。
小さなリスクでさえ避けようとする状況であれば、より大きなリスクをとる投資家は減っていきます。
そのためリスクが大きくなるにつれてリスクプレミアムも増大していくこといなり、リスクに対するリターンも拡大していきます。
リスク許容度は絶対に超えない
リスクを大きくすることでそれ以上にリターンが大きくなるといっても、リスク許容度を超えてしまえば意味がありません。
どれだけ株を安く買うことができても会社が潰れてしまえば、結局は大きな損失が発生してしまいます。
また投資額を増やすことでリスクをとっても、実生活で資金が必要になれば株を売る羽目になってしまい、底値で株を売ることで損失が発生します。
暴落期はリターンが最大化しているためリスクをとることに大きな意味が生まれますが、絶対にリスク許容度の範囲内で投資をしなくてはいけません。
4.リスクを最大化することでリスクを最小化できる
リスクが大きくなってもそれ以上にリターンが大きくなるなら、むしろリスクが大きくなることでリスクも小さくなります。リスク以上にリターンが大きくなれば、損失を穴埋めすることもできます。
攻撃は最大の防御
攻撃は最大の防御という言葉がありますが、この言葉は株式投資においても有効です。
リスクをとるほどリターンが大きくなる場面では、攻めの姿勢で投資をすることでリスクを回避できるからです。
もしリスクが顕在化して損失が発生しても、それ以上に大きなリターンを手に入れられるならリスクの顕在化によって生じた損失を補うことができます。
ところがリスクを抑えてリターンまで減らしてしまっていれば、リスクが顕在化したときにリターンで損失を補うことが難しくなる可能性もあります。
リスクとリターンはバランスによって評価されることを考えれば、リスクをとることがリスクを減らすことにつながる場面があることに不思議はありません。
リスクの拡大以上にリターンが拡大することが条件
リスクを最大化がリスクを最小化につながるためには、リスクの拡大以上にリターンが拡大することが条件となります。
リスクが大きくなってもそれ以上にリターンが大きくなれば、よりリスクをとることがリスクを考慮してもリターンを増やせるからです。
ただしリスクとリターンを正確に分析して評価することはできません。リスクとリターンを決定する要素が多すぎることに加えて検証することができないためです。
それでもリスクの拡大以上にリターンが拡大するという条件は、暴落期には存在します。十分に株価が下落して底値を打ったタイミングではリスクの拡大以上にリターンが拡大している可能性は十分にあります。
暴落時にリスクをとることこそリスクを減らせる
株式投資ではリスクを最小限に抑えて安定した投資をすることが大切になります。リスクを抑えるためには、周囲の投資家の評価に惑わされてはいけません。
リスクとリターンは、多くの投資家の判断が大きく影響して評価されます。そのため多くの投資家がリスクが大きいと考えていれば、それだけリスクは小さくなります。
一般的な感覚でリスクだと思えることは、その時点でリスクが小さい可能性が高くなり、特に暴落期には本能に逆らってリスクをとることでリスクを減らすことができます。
5.貪欲に最大リターンを狙うことがもっとも安全
暴落期には貪欲に最大リターンを狙うことがもっとも安全な投資になります。異常事態には常識から離れた投資判断が求められます。
少数派の投資家になる
暴落期には多くの投資家が悲観的になっており、貪欲にリターンを狙う投資家は少数派になります。暴落前に意気込んでいた投資家たちも、実際に暴落を目の当たりにすれば投資することができません。
株式投資では少数派になることでリターンが大きくなり、貪欲に最大リターンを狙う投資家は暴落期には大きく減ります。つまり少数派の投資家になってリターンを増やすためには、貪欲に最大リターンを狙うという無謀とも思える投資を実践する必要があります。
少数派の投資家となり無謀に思えるからこそ安全に投資できます。
リターンの拡大で安全性が高まる
貪欲に最大リターンを狙う投資家が減れば、それだけリスクプレミアムが拡大することになります。そしてリターンを増やすことができれば、損失にも対応することができます。
リターンを拡大することは安全域や誤りの許容範囲を増やすことができます。損失が発生しても、その損失を補填できるだけのリターンがあれば利益を増やすことができるだけでなく、経済的にも精神的にも貯金を作ることができるためよりリスクをとった投資を実践できます。
リスクをとってリターンを増やすことで、さらにリスクをとることができるためリターンも増やすことができます。
矛盾しているようにも思えますが、徹底的にリターンを拡大させることが投資の安全性を高めることにつながります。
入口から出て出口から入る
多くの投資家は入り口から入って出口から出ていくものですが、多くの投資家が殺到している入り口や出口は避けなくてはいけません。
もし株式投資で儲けようと考えているなら、入口から出て出口から入ることを意識しましょう。
多くの投資家が株を買っているタイミングで株を売り、株を売っているタイミングで株を買うことが入口から出て出口から入るということです。
多くの投資家が殺到している入り口や出口を避ければ、バブル期には株を売って暴落期には株を買うことになります。
まとめ
株式投資で大きなリターンを得るためには、多くの投資家と正反対の判断をする必要があり、本能に逆らった決定を下さなくていけません。
もし暴落期にリスクをとることが常識外れで間違っていてバカバカしい判断だと思うなら、常識外れで間違っていてバカバカしい判断だと思うことが正しい判断であることを示す何よりの証拠となります。
リスクをとることでリスクを減らすことができるという常識が通用しない状況が暴落期です。もし暴落期に怖くて投資できないなら、怖く感じているからこそ投資すべきタイミングだと思いましょう。