連続増配株を買うべきではない5つの理由とは?連続増配年数だけで米国株を選ぶと大失敗に!
2020/02/24
高配当株投資をしたいと思っている人は、配当金が増え続けている連続増配株を優先的に買いたいと思うものです。特に日本よりも連続増配株が劇的に多い米国へ投資する米国株投資をする場合には、連続増配株の多さはわざわざ米国株投資をする大きな理由になります。
しかし長年にわたって連続増配を続けている連続増配株というだけの理由で連続増配株に投資をしてしまうと、思わぬ落とし穴に落ちてしまう可能性があります。
今回は、多くの人が株式投資をするときに目安にする連続増配株を買うべきではない5つの理由をご紹介します。連続増配年数だけで米国株を選ぶと大失敗する可能性も十分あります。
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1.連続増配株が高配当株ではない可能性もあるから
連続増配株だからといって必ずしも高配当株というわけではありません。つまり配当金が少ない連続増配株も存在しており、配当金狙いの場合には連続増配株を買うときにも注意が必要になります。
配当金狙いのはずの連続増配株への投資で配当金が得られない
あえて連続増配株を購入したいと考えている人は、配当金を求めている場合がほとんどです。
配当金狙いの高配当株投資をするときに連続増配株を選ぶことは決して間違えていませんが、連続増配株だからといって必ずしも高配当株だということはありません。
配当金狙いで連続増配株を買っているのに、配当金が少なければ意味がありません。
そのため配当金狙いの高配当株投資で連続増配株を購入する場合には、配当年数の長さよりも配当利回りを重視するべきです。
高配当の水準に到達しない
連続増配を続けているということは配当金が増え続けているということです。つまり現時点では配当金が少なくても、時間が経てば配当金が増えていくためいつかは高配当株になると考えている人も少なくありません。
しかし連続増配株が高配当の水準に到達しない可能性も十分にあります。
連続増配株は連続して増配しているだけで、配当金がどれくらい増え続けているかは分かりません。とにかく毎年のように配当金が増えていれば連続増配株になるため、配当金をあまり増やさない連続増配株もあります。
配当金増加のスピードが遅ければ、連続増配株を長年持っていても高配当の水準に到達しない可能性は十分にあります。
配当金を目当てにして連続増配株を買っているのに、高配当の水準に到達しないなら連続増配株を買う意味は失われてしまいます。
投資期間が長くなればリスクは増大する
連続増配株をあえて選ぶ理由のひとつがリスクを抑えることになります。アメリカには50年以上の連続増配を続けている連続増配株もあるため、長期間にわたって連続増配している企業なら連続増配のストップや減配のリスクを抑えることができると考えがちです。
しかし配当金の増加が少なく連続増配株の配当金が高配当の水準に到達するまでに時間がかかるなら、それだけ長く連続増配株を保有する必要に迫られます。
当然ながら投資期間が長くなればリスクは増大していきます。1年間のリスクが1%でも100年経てば100%になります。
リスクを抑えるために配当金の少なさに目を瞑って連続増配株を選んでも、高配当の水準を待つために投資期間が長くなってしまえばリスクが増大する可能性も十分にあります。
2.無理をして配当金を出している可能性があるから
連続増配株の中には、連続増配を守るために無理をして配当金を出している場合があります。もし無理を続けて連続増配を続けているなら、連続増配年数がどれだけ長くても安心できる株ではありません。
配当性向が重要
配当性向とは、純利益に対して配当金はどれくらい支払っているのかを示した数値で、配当性向が低ければ余裕があり、配当性向が高ければ余裕がないということになります。
配当性向が100%なら、その企業はその期における利益の全てを配当金として還元していることになります。
連続増配を続けていても配当性向が高すぎれば連続増配がストップしてしまう可能性は十分にあり、それどころか減配に転落する可能性もあります。
連続増配年数ばかりに目を向けるのではなく、どれくらいの配当性向を維持しているのかにも目を向ける必要があります。
配当性向が100%なら成長は難しい
配当性向が100%を超えていれば、その企業は間違いなく無理をして配当金を出していると考えられます。
配当性向100%なら利益の全てを配当金として出しているため、企業としての成長には期待することができません。
企業は利益の一部を再投資することで成長しますが、配当性向100%なら成長のための再投資が行われていないということになるためです。
そのため配当性向100%が続くなら、その企業にはそれ以上の成長を望むことができません。
配当性向が100%を超えていれば無理をしている
配当金を重視する企業の中には配当性向が100%を超えている企業も存在します。
連続増配年数を守るために連続増配を続けるためには利益以上の配当金を用意しなければならない場合もあるためです。
もし配当性向が100%を超えていれば明らかに無理をしているということになります。配当金を出すために借金をしているような状態で、無理に配当金を出し続けることは長く続きません。
それどころか配当金は増加しても企業自体の価値が下がってしまうため株価が下がる可能性は十分にあります。企業価値を落とし株価を下げながら配当を続けることを蛸配当と呼び、まるで自分で自分の足を食べるタコと同じような状況に陥っているといえます。
もちろん一時的に利益が減少する中で連続増配年数を維持するために配当金を増やして配当性向が100%を超えてしまうこともありますが、配当性向が常に高い状況を保っているなら非常に危険な状態と判断できます。
連続増配年数だけでは無理をしているか分からない
連続増配年数が長いことは安定した企業経営を続けている証になる一方で、連続増配年数が長いことだけで安定している企業だと判断することはできません。
連続増配年数が長くなれば無理をしても連続増配年数を伸ばそうと考えるもので、企業の価値を下げながら連続増配年数だけは長く保っている企業も存在します。
連続増配年数を確認すること自体は間違っていませんが、連続増配年数を確認した後には配当性向も併せて確認しなくてはいけません。連続増配年数だけでは無理をしているかどうかは判断できません。
3.株価が下がりトータルリターンが低い可能性があるから
蛸配当をしている企業に多いのが株価の下落です。連続増配を続けていても株価が下がり続けているなら総合的なリターンは少なくなってしまいます。
配当金を上回る株価の下落
たとえば50年にわたって連続増配を続けている企業であり、配当リターンが10%であれば多くの投資家が喜んで買いたくなる株になります。
ところが株価が10%ずつ下落していれば話は変わってきます。
配当金をもらうことで資産が増えたと思っていても、株価が下落を続けていれば配当金による利益が打ち消されてしまいます。
配当金よりも株価の下落が大きくなれば、利益が減少するどころか損失が発生していることになります。
そのため高配当の連続増配株であっても配当金ではカバーできないほどの株価の下落を続けているならトータルリターンが下がることになります。
株価が下がらなくても低リターンなら意味がない
もし株価が下がらず連続増配を続けていて少しでも配当金を得続けられる状態なら納得して連続増配株を買う投資家がいるかもしれません。しかしその投資は大きな間違いです。
もし配当金目当てで連続増配株を買っているとしても、リターン自体が低ければ投資先として魅力に欠けることになります。
株式投資以外にも投資できるものはたくさんあります。債権や国債など株式投資よりも安定していて利回りの高い投資先も存在します。
株式投資をする場合には、ある程度のリターンを目指さなくては意味がありません。リターンをないがしろにして徹底的に安定を求めるなら連続増配株ではなくほかの投資先を探すべきです。
株価の上昇と配当金の増加によるトータルリターンを意識する必要がある
連続増配株であることを理由に飛びついてしまう場合には、株価の上昇と配当金の増加によるトータルリターン意識する必要があります。
連続増配株であるということはプラスな材料であることに間違いありませんが、それだけで投資を判断する絶対的な条件にはなりません。
キャピタルゲイン狙いではなくインカムゲイン狙いの場合であっても、株価のことを完全に無視することはできず、キャピタルゲインとインカムゲインを合わせたトータルリターンをしっかりと意識しておく必要があります。
連続増配という魅力的な言葉に取り憑かれてしまっても、必ずトータルリターンを確認するようにしましょう。
4.今後の連続増配が約束されているわけではないから
これまで長年にわたって連続増配が続いてきたからといってこれからも長年にわたって連続増配が続いていくとは限りません。過去の連続増配は未来の連続増配を約束してくれません。
過去の繰り返しが続くなら誰も損はしない
株式投資の世界において、過去の繰り返しが続くなら誰も損をすることはありません。過去を知れば未来を知ることができるためです。
多くの投資家が損失を発生させるのは、過去とは違ったパターンの出来事が発生するからです。
誰もが想像していなかったような出来事が発生するときに大きな損失が発生します。
連続増配だけを根拠にするのは危険
過去のパターンから未来を予想する人がほとんどですが、現実には損失が発生する場合には過去のパターンから逸脱した出来事が原因となっています。
もちろん連続増配も含まれます。
連続増配だけを根拠に投資をしていれば、連続増配が止まったときには大きな損失を抱えてしまう可能性があります。なぜなら連続増配株を買うということは、連続増配を含めたリターンを期待しているためです。
連続増配がストップしてしまえばそれだけで不測の事態となってしまうため、狼狽売りをしてしまう可能性も十分にあります。
そのため連続増配だけを根拠にするのは非常に危険な投資になります。
株式投資では分かりやすいことは危険なこと
連続増配株はそれただけで優秀な株のように思える非常に分かりやすいものです。つまり多くの人が連続増配株を欲しいと思い、誰もが連続増配株を安心して買うことができるということです。
多くの人が連続増配株を買うということが、連続増配株が本来の企業の実力以上に値上がりしている可能性も十分にあります。
十分に納得できるインデックスの平均以上のリターンを得ようと考えるなら、分かりやすくて多くの人が投資する可能性のある連続増配株をあえて避けることの方が総合的なリターンを増やすことにつながる可能性があります。
これまで連続増配する株ではなくこれから連続増配する株を選ぶことが重要
連続増配株を選びたいと考えている人は、連続増配株を選びたいのではなく増配当が続く株を選びたいということです。連続増配株を選ぶことと連続増配する株を選ぶことは、同じようで全く違います。
これまで連続増配していた株であってもこれから連続増配する株であるとは限りません。これまで連続増配していたという事実は気休めにしかなりません。
現在残っている連続増配株は、無数にある連続増配がストップした株の一部でしかありません。長年にわたって連続増配をしてきた株には連続増配年数が増えるだけの理由がある一方で、たまたま連続増配がストップする出来事を運良く避けられただけである可能性も否定できません。
もし連続増配する株が欲しいなら連続増配株だけでなくこれから連続増配するであろう株を見つけ出して選ぶ方が重要です。
5.将来性のある企業が少ないから
連続増配株は長年にわたってビジネスを展開してきた企業です。また配当金を出しているということは成長性に限りがあるということにもなります。
そのため連続増配株を選ぶということは将来性のある企業を避けるということにもなります。成長株を手にすることができなければトータルリターンが落ちる原因になります。
老舗企業は配当金を増やす
企業は株主に対して企業の成長による株価の上昇か配当金の増加で報いようとします。
連続増配株の多くは老舗企業であり、ビジネスを展開している分野において成長の余地があまりない場合がほとんどです。それ以上の成長を望むことができないため、利益を再投資による成長ではなく配当金という形で還元しています。
そのため連続増配株を選ぶということはその時点で新興企業ではなく老舗企業を選ぶということです。
老舗企業を選ぶことが悪いことではありませんが、連続増配株は老舗企業であることは理解しておかなくてはいけません。
老舗企業は爆発的に成長しない
老舗企業に急激な成長は期待できません。つまり配当金が急激に増額されたり株価が急上昇することもないということです。
爆発的に成長しなければ大きなリターンを得ることができずリターンは限定されてしまいます。
一方で長年にわたってビジネスを展開しているためリスクは少ないもののリスクが完全にないというわけではありません。老舗企業であっても大きな損失が発生したり倒産することは当然ながらあります。
成長企業の場合は損失を補うだけの成長にも期待できますが、老舗企業の場合は大きな損失が発生した場合には成長でカバーできる可能性は非常に低くなります。
リスクを抑えるために老舗企業を選んでいる人も多いですが、リターンが少ないということはそれ自体がリスクになる可能性は十分にあります。
老舗企業というだけではリスク回避にはならない
老舗企業が爆発的な成長に期待できないため大きなリターンを狙うことはできません。一方で限定的ながらリスクを抱えることもあります。
つまり老舗企業というだけではリスク回避にはなりません。
重要なのは株価です。連続増配株に限らず、リターンとリスクを考慮しながらその企業の価値よりも価格が安ければ買う価値がり、価値よりも価格が高ければ買う価値はありません。
特に連続増配株は目立ちやすいため株価が高くなっている可能性も否定できません。老舗企業というだけで株価が高いタイミングで株を買ってしまうとリスク回避どころか株を買った時点でリスクが確定してしまう可能性さえあります。
まとめ
連続増配株の中には非常に優秀で投資したくなる企業がたくさんあるのは事実です。一方で連続増配年数が長いということだけを理由にして株を買ってしまうと大きな損失が発生する可能性があります。
大切なのは企業の価値を見極めることであり連続増配しているかどうかは関係ありません。多くの配当金を手に入れたいなら連続増配株ではなく高配当株を選ぶべきです。
もちろん連続増配年数は株を購入するときの目安にはなりますが、絶対に連続増配年数だけで株を選ぶようなことはやめましょう。