定量売却法を分かりやすく徹底解説!ドルコスト平均法の逆の出口戦略のメリットとデメリットとは?

      2020/02/10

持っている株や為替(仮想通貨)の価格が上昇して喜ぶ、スマートフォンを持った女性のイラスト

投資初心者に推奨されているインデックス投資とドルコスト平均法の組み合わせ。確かに長期的にインデックス投資ドルコスト平均法で行えば、着実に資産を増やすことができます。

一方でインデックス投資やドルコスト平均法については多くの投資初心者が理解していますが、出口戦略については知らない人が多く、インデックス投資によるドルコスト平均法の出口戦略に疑問を抱いた結果、インデックス投資で資産を増やしてから高配当株投資に切り替えるという奇妙な投資手法を実践しようとする人も少なくありません。

インデックス投資とドルコスト平均法について理解できたなら、今度は出口戦略である定量売却法について理解する必要があります。

今回は、定量売却法を分かりやすく徹底解説していきます。ドルコスト平均法の逆をやるという出口戦略のメリットとデメリットについても知っていきましょう。




Amazonが送料無料になる秘密の裏技とは?

1.定期的に一定量の株式を売却する方法

定量売却法とは、ドルコスト平均法と逆の方法で株を売却していくというものです。つまり定期的に一定量の株式を売却していくことでリターンを最大化します。

決まった株数を決まったタイミングで売る

定量売却法というと難しそうですが、実践方法は非常に簡単です。決まった株数を決まったタイミングで売るだけです。

たとえば1000株を持っていたとすれば、株価の推移や売却タイミングを気にせず毎月10株ずつ売っていくようなものです。

継続的に一定量の株を売り続けることで定量売却法を実践することができます。

ドルコスト平均法では一定額を一定期間ごとに投資していきますが、定量売却法ではドルコスト平均法の逆で一定量を一定期間ごと売却していきます。

定量売却法を分かりやすく解説

なぜ決まった株数を決まったタイミングで売れば優秀な出口戦略になるのか分かりにくいため、納得して定量売却法を実践するためにも定量売却法の原理を解説していきます。

株を定期的に売るときには2つの方法があります。株を定量ずつ売る定量売却法と株を定額ずつ売る定額売却法です。

平均的な株価が1000円の株を4カ月間、毎月10株ずつ売る場合と1万円ずつ売る場合を比較してみましょう。

4カ月の間には、株価は次のように推移します。1カ月目1000円、2カ月目1500円、3カ月目500円、4カ月目1000円です。

このとき定量売却法で売却すると、4カ月間の合計は売却株数が40株で売却額は4万円になります。1株あたり1000円で売却したことになります。

定額売却法で売却すると、4カ月目の合計は売却株数が46.7株で購入額は4万円になります。1株あたり856.5円で売却したことになります。

このような差が発生するのは、定額売却法で売却すると株価が高いときには売却株数が減るものの、株価が安いときには売却株数が増えてしまうためです。

定額売却法では毎月1万円分の株式を売却するため1万円のキャッシュフローを手にすることができますが、株を割安で売ってしまう可能性が高くなります。

もちろん株価がもっとも上がったタイミングで全株を売却すれば定量売却法よりも高いリターンを得られますが、株価がもっとも上がったタイミングを見極めることは困難です。プロの投資家でも失敗することも多く株式投資の初心者が見極めることはできません。

また株価は歴史的に右肩上がりで推移しているため、論理的に言ってしまえば株は売却せずに保持し続けることが最大リターンにつながることになります。

定量売却法は最高のリターンを得られないものの最適なリターンを得ることができる売却手法です。100点は取れないものの30点を取ることもなく常に80点を取ることができるような売却手法だと考えましょう。

2.定量売却法のメリット

定量売却法を出口戦略に採用することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。定量売却法のメリットを確認しましょう。

割高で株を売却できる

定量売却法を駆使すれば、比較的高く株を売却することができます。

原理はドルコスト平均法を逆にしたもので、ドルコスト平均法では株を比較的安く買うことができますが、定量売却法では株を比較的高く売ることができます。

株は安く買うことと同じくらい高く売ることが重要になりますが、買うよりも売る方が難しいものです。そのため出口戦略を考えずに株を買ってしまい、上手に売ることができず損失を抱える人も少なくありません。

定量売却法なら比較的高く株を売却できます。

知識も技術も必要ない

定量売却法は非常に簡単です。一定量の株を一定期間ごとに売却すれば完成します。

定量で株を売却する設定ができるなら、自動的に株を売却していくことも可能です。

インデックス投資でドルコスト平均法を実践するのには知識も技術も不要ですが、同じように定量売却法で資産を取り崩して現金化していくときにも知識や技術は必要ありません。

出口戦略で判断力が求められないことは非常に重要です。なぜなら長期的に投資してから株を売却する場合、株式投資家が高齢になっている可能性も高く、判断力が著しく低下している可能性も否めないためです。

株式投資には勉強が必要不可欠ですが、勉強して知識を蓄えて実践できるのは若いからです。70歳を過ぎてから正確な判断を下すことは肉体的にも難しくなっている可能性が高く、大事な老後の資金ともなるとより一層優れた判断力が求められます。

しかし定量売却法なら自分自身の判断力に頼る必要はありません。判断力が低下していても機械的に売却していくだけであるため、安心することができます。

定量売却法を駆使すれば知識や技術を必要とせず高効率で株を売却できますが、この利点は定量売却法を長期投資の出口戦略として採用する場合には想像以上に大きなメリットになるはずです。

手間も時間もかからない

定量売却法を実践するのに手間も時間もかかりません。自動設定ができるなら自動的に株は売却されていきます。

定量売却法で株を売却する状況の多くは、資産を現金化して消費していく人生の後半となります。悠々自適の生活の中で、お金のために手間と時間をかけていたのでは投資をした甲斐もありません。

また高齢になれば物理的に手間や時間をかけることができない状態に陥っている可能性もあります。どれだけ資産があっても現金化するのに手間や時間がかかってしまうなら、いざというときに有効活用できない可能性も十分にあります。

老後の資金作りにも有効なインデックス投資の出口戦略に採用する条件をしっかりと満たしているのが定量売却法です。

インデックス投資やドルコスト平均法との相性が抜群

定量売却法は、まさにインデックス投資やドルコスト平均法のために考えられた出口戦略です。

株価の右肩上がりに乗って資産を増やすインデックス投資と割安で株を買うドルコスト平均法に、割高で株を売る定量売却法が組み合わさればリターンを大きく増やすことができます。

しかもこれらの投資手法は非常に簡単で投資に詳しくない人でも実践することが容易です。

多くの人が採用するインデックス投資やドルコスト平均法との相性に優れていることは間違いなく定量売却法の強みとなります。

3.定量売却法のデメリット

定量売却法にはデメリットも存在します。定量売却法のデメリットについても理解を深めていきましょう。

定期的に一定額のキャッシュフローを得られない

定量売却法では、決まった株数を売却していきます。そのため売却益は株価によって変動します。

株式投資による利益を年金のように決まった金額欲しい場合には、定量売却法では売却益が不安定になるため採用に否定的になるかもしれません。

株価が上がっていれば利益が大きいものの株価が下がっていれば利益が小さくなってしまい、さらに売却益が株価によって振り回されてしまうため生活のための資金としてギリギリで売却していくことは困難です。

特に相場が大暴落したタイミングや景気の後退局面では最悪で、長ければ4年ほど売却益が低い状態が続きます。

そのため定量売却法では、計画的に必要となるお金を計算してから、売却益を多めに蓄えて余裕を持って運用することが重要になります。

株を売却することで今後の利益を逃す

当然ですが、株を売却すれば今後の株価の上昇による利益を逃すことになります。

これは定量売却法に限らず株式投資の出口戦略全般のデメリットとなります。むしろ定量売却法は株の売却を遅らせることができるため、機会損失を減らすことができます。

ただし最終的にはどこかで株を売却しなければお金として使うことができないため、株の売却による機会損失は株式投資の宿命となります。

株価が右肩上がりしなければリターンが減る

定量売却法では株価が右肩上がりでなければリターンが減ってしまいます。

株価が右肩下がりの場合には、できるだけ早く株を売却することが最適になるため定量売却法では損失を拡大することになります。

ただし歴史的に見ると株価は過去200年以上にわたって右肩上がりとなっているため、基本的には右肩下がりになることはあまり心配する必要がありません。

現金化に時間がかかる

定量売却法では株式を現金にするのに時間がかかります。

大きなお金が必要なときには不向きな株の売却法であり、緊急事態にも対応することができません。

急にお金が必要なときに大暴落していれば最悪で、株を割安で売却することを強いられてしまいます。

ただし現金化に時間がかかるのは割安で株を売却するリスクを分散するためのもので、どのような出口戦略を採用するにしてもリスクを分散するためには売却期間を延ばすしかありません。

4.ドルコスト平均法によるインデックス投資に最適な出口戦略

定量売却法にはメリットもデメリットもありますが、ドルコスト平均法によるインデックス投資との相性が非常に良いため最適な出口戦略になります。

ドルコスト平均法によるインデックス投資の出口戦略を考えていない人多すぎ問題

人気を集めているインデックス投資。多くの人がインデックス投資を採用しており、インデックス投資信託をドルコスト平均法で買っておけば間違いないと断言する人が増えています。

一方で出口戦略については説明する人が少なすぎます。

株式投資に限らず投資全般で言えることですが、出口戦略を考えずに投資することは非常に危険です。

もしものときのことを考えれば必ず出口戦略を考えておかなくてはいけませんが、インデックス投資をドルコスト平均法で実践する人は出口戦略を考えず始めていることが少なくありません。

投資をしていて出口戦略について説明できないなら、一度、立ち止まって自分の投資が正しいのかじっくり考えるべきです。

インデックス投資の場合、出口が遠い未来であるためあまり真剣に考えていない人が多いですが、投資は計画が重要であるため出口戦略を考えてから投資するようにしましょう。

定量売却法のメリットを生かせるのがインデックス投資の出口戦略での採用

インデックス投資の出口戦略として定量売却法が優秀な理由は、インデックス投資の出口戦略として定量売却法を採用することで定量売却法のメリットを最大化しつつデメリットを最小化できるからです。

定量売却法の最大のデメリットは右肩上がりが前提となることです。右肩上がりをしていなければ定量売却法で株を売却しても割高で株を売ることができません。むしろ割安で株を売却することになってしまいます。

個別銘柄の場合、株価が右肩下がりを続けることは十分に考えられます。そのため個別銘柄の株で定量売却法を実践するのは向いていません。

しかし市場全体を買うインデックス投資の場合、右肩上がりに期待することができます。過去200年において右肩上がりを続けており、経済が成長する限りは株価も右肩上がりを続けるためです。

定量売却法の最大のデメリットはインデックス投資と組み合わせることで打ち消すことが容易になります。

またインデックス投資はアクティブ投資をするほどの知識や技術のない人が手軽に資産を増やすために実践することが多く、定量売却法ならインデックス投資をドルコスト平均法で実践できる人には十分に実践できる株の売却方法となります。

まさに定量売却法はインデックス投資やドルコスト平均法とセットで利用するのに最適な株の売却方法となります。

5.資産を減らさずにお金を受け取り続ける疑似配当も可能になる

インデックス投資をしている人の中には出口戦略を考えていない人も多く、年金のように受け取れる老後の資金が欲しいのに効率を重視して高配当株投資ではなくインデックス投資を採用している人も少なくありません。

そんなインデックス投資のように効率よく投資しながら高配当株投資のように配当金を受け取りたいという人を満足させられるのが定量売却法による疑似配当化です。

疑似配当化とは?

疑似配当化とは、株の売却益を配当金代わりにする方法です。疑似配当化すれば、理論的には元本を損なうことなく株の売却益を永遠に受け取り続けることができるようになります。

疑似配当化の仕組みとしては、株価の上昇に合わせて株を売却していくことで株価の上昇分を現金化して受け取り、資産自体は減らさずに維持できるというものです。

分かりやすく説明すると、1000円の株を100株持っていた場合、総資産は10万円になりますが、年間10%で株価が上昇しているとします。

1年後には10%の株価上昇によって1株1100円となり持ち株数は100株、総資産は11万円になります。このとき10株を売却すれば売却益は9900円となり総資産は10万100円となります。

2年後には10%の株価上昇によって1株1210円となり持ち株数は91株、総資産は11万110円になります。このとき8株を売却すれば売却益は9680円となり総資産は10万430円となります。

株価の上昇率よりも売却する持ち株の割合を下げることで、持ち株数は減っていくものの総資産自体は減るどころか増えることになります。

もちろん売却する株数を増やせば元本割れして最終的には総資産は0円になりますが、売却する株数を減らせば元本が増えていくため総資産は増えていくことになります。

疑似配当化すれば、配当金がなくても資産を減らさずに現金を永続的に作り出すことができるようになります。

定量売却法で疑似配当化すれば効率的に配当金代わりの売却益を永遠に受け取ることも可能

定量売却法を活用すれば効率的に株を売却することができます。そして株価の上昇率以下の株数の売却に留めれば疑似配当化することも可能です。つまり定量売却法で疑似配当化すれば効率的に配当金代わりの売却益を永遠に受け取ることも可能になるということです。

定量売却法を実践するため株価の変動によって売却益は変動してしまいますが、株式市場に踏み止まって経済成長の恩恵をいつまでも受け続けるメリットは非常に大きくなります。

市場の利回りは平均7%程度となっているため、仮に元本割れのリスクを抑えるために5%の株を売却することにすれば、毎年、元本に対して5%の売却益を永遠に受け取ることも夢ではなくなります。そして理屈上は元本が年利2%で増えていくため売却益も増えていくことになります。

もしインデックス投資で1億円を達成できれば税金を考慮しても毎年400万円を永遠に受ける取ることができます。

インデックス投資や定量売却法を上手に利用すれば、まさに全自動資本主義ともいえるシステムを作り上げることもできます。

まとめ

インデックス投資やドルコスト平均法に夢中になって出口戦略が完全に抜け落ちている人にはまさに福音となる定量売却法。デメリットもありますがメリットを考えればインデックス投資やドルコスト平均法の出口戦略として最適解のひとつとなります。

また定量売却法で売却する株数の割合に気を配るだけで効率的な疑似配当化も容易になります。個別銘柄ではなくインデックス投資でリスクを抑えながら配当金のような売却益を得て、元本を増やすことさえ可能になります。

もしインデックス投資やドルコスト平均法で投資をしているのに定量売却法を知らなかったり出口戦略について考えていなかった人は立ち止まって投資計画について考え直しましょう。インデックス投資の出口戦略が見つかったのは運が良かっただけという可能性もあります。

大切な資産をと時間を費やして運用する以上、どれだけ悩んでも考え過ぎるということはありません。

 - ライフハック・ノウハウ, 資産運用, 株式投資, お金, 悩み , , , , , , , ,